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2020.02.15 Sat

“苦海浄土” 石牟礼道子

公害ルポという言葉では全く足りない、もっと根源的な理不尽さとどうにもならなさに翻弄された、ひとびとの魂の声の記録。
「水俣病は文明と、人間の原存在の意味への問いである。たぶん彼のそのような沈黙は、存在の根源から発せられているのである。彼こそは、存在を動かす錘そのものにちがいない。だからわたくしは、彼の沈黙をまるまる尊重していた。彼がしゃべり出すまでは--。」(講談社文庫,p.250)